歩く
散歩といっても、そのデイリープログラムのねらいによって、その目的は様々である。場所移動の散歩もあれば、歩くことが主体となることもある。
とはいえ、保育室とは違う景色が目の前にくり広がる、もう、それだけで子ども達にとっては刺激的なのである。
その刺激を保育でいかに有効活用できるか否かは保育者の腕のみせどころだろう。
保育者が散歩ルートを決定する際、予め、道中の環境を把握していたとする。例えば、道中に畑や家庭菜園がある場合、その日の給食の献立に関連がある野菜だったとする。
そのことを把握した上で保育者が引率すれば、給食までの連続したストーリーが出来上がる。
ピーマンが苦手な子が、道中でピーマンを見つけ、眺める。
生命力にあふれ、色つやのよいピーマンを目にした時、子どもはどのような反応をするだろう?年齢からいくと、まだ全てにおいて連鎖した想像は難しい年頃故、目の前のピーマンはただそれだけで、ジューシーに輝いて映っているのではないだろうか?
そんな映像を脳裏に焼き付け、園に戻り、給食。
配膳された器には、先程みたピーマンが入っている。
苦手の記憶よりも新しいジューシーなピーマン。親しみが湧いてくる。
親しみが湧けば、自宅では仮にピーマンが苦手だったとしても、発見したその日の園では口にしてみることが出来だろう。
その瞬間を保育者が見逃すことなく、適切な声掛けが行われれば、その子の苦手意識は薄れ、自信へと変わり、自己肯定へとつながる。
”歩く”にもストーリーがあることを頭の片隅に置いておくだけで、育むアイデアにつながることがある。
水遊び
0-2歳の水遊びとは、『水をひとつのアイテムとして遊びに使う』とイメージして頂いたほうがわかりやすいと思う。
容器に水を入れてみる、こぼしてみる、浮かべてみる…
そこに広がる水の波紋を比べてみたり、落下する際の音の違い、水を掬う時、容器にかかる浮力の触覚…。
起こる現象を感覚で捉え、記憶領域にインプットできる子は、先の小学校での学習に苦労することはあまりないだろう。
何故なら、学習とは体験や伝聞などにより経験を蓄えること。
同じ体験をしても、感覚を研ぎ澄ませる方が情報量は増える。
そこに誘導していくことも、専門職である保育士の技だといえるのではないだろうか?